鹿島のお役立ちコラム 

建築お役立ちコラム 

2015/03/03
No,1鹿島の建築お役立ちコラム

◆「省エネ住宅の最大のポイントは、
開口部【サッシ】の断熱性能にあります。」

省エネ住宅の基本は、まず、断熱性能の良いペアガラスサッシを採用することです。

なぜなら、家の各部位の断熱(屋根、外壁、床下)で、開口部(窓)が最も断熱性が低い

(悪い)からです。

◆ガラスのK値について、・・・・

参考までに、下の表のガラスのK値を見てもらえば、一目のようにペアガラスは、
シングルガラスの3倍以上の断熱性能を持っております。

%E3%83%9A%E3%82%A2%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%81%AE%EF%BC%B2%E5%80%A4%E3%83%BC%EF%BC%92.JPG
 K値とは、熱貫流率のことで、各部位の断熱性能を表す指標です。
 数値が少ないほど断熱性能が高い。(良い)





◆ペアガラスのエアースペースについて、・・・・

ペアガラスというと、日本では、エアースペースが6m/m(ミリ)のものが一般的に

使われていますが、これは、日本独自のもので世界標準のエアースペースは12m/m

になります。

下の表はペアガラスのエアースペースのデータ表です。
(エアースペースとは、2枚のガラスの空気層のことです。)

%E3%83%9A%E3%82%A2%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%81%AE%EF%BC%B2%E5%80%A4.JPG

ご覧になれば、分かるように、エアースペースが6m/m(ミリ)ではあまり効果が
ありません。

【ペアガラスを使用する本来の目的は、断熱性に優れているから採用します。
その性能を信じたペアガラスが名ばかりの性能だったらどう対処しますか、
決める前にしっかり検証しましょう。】


特に、遮音性は共鳴して、シングルガラスよりも悪くなる場合があります。

理想のペアガラスのエアースペースは19m/m(ミリ)で、これ以上広くしても

意味がありません。しかも19m/m(ミリ)だとサッシの見込み寸法が大きく

なり過ぎるので、世界標準は12m/m(ミリ)のエアースペースが採用されております。

間違っても、エアースペース6m/mのペアガラスサッシは使用しない方が宜しいかと
思います。

【極論を言ってしまいば、結露もするし、断熱、遮音もシングルとそれ程の
違いがなく、後で後悔しないためにもしっかり検証してお決め下さい。】



◆サッシのアルミについては・・・・

サッシに使われるアルミの熱伝導率は他の素材に比べてとび抜けており、

アルミを使用している以上、ヒートロスを避けることが出来ないのと、

結露が発生すのも避けられません。

これらを避けるためには世界的に使用されている木製サッシや

PVC(高耐候性硬質塩ビ製)サッシがあります。


%E3%83%9A%E3%82%A2%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%81%AE%EF%BC%B2%E5%80%A4%E3%83%BC%EF%BC%93.JPG


また、玄関ドアは、アルミ製のドアを大多数の方が使用されていますが、

断熱は家全体で求められているので、サッシと同等、もしくは、それ以上の

性能を持ったものをお勧めします。


できれば玄関ドアくらいは、木製ドアを採用したいですね。


木製ドアなら好きな材質が選べるからすごく良いと思います。

海外のものなら、オークやチーク、メープルなど、どれも広葉樹で

材質は硬く耐久性が良いのと木の持つ質感は温かみがあります。


日本の木だったら、ナラやタモ、桜、栗、胡桃(クルミ)などの広葉樹は

硬くて湿気にも強いので、玄関ドアには、最適かと思います。

玄関は我が家の顔とも言われますので、ちょっと拘ってみたいなと、

思われた方は、一度、検証なされてみては・・・如何でしょうか。

これから、家をお建てになられる方は、どんなサッシやドアを勧められていますか、

ご自分でしっかり決めることが出来ますか、サッシの選択は、家づくりの中で最も

重要なファクターになります。これを間違えると一生の不作とも言われています。

お時間を掛けて納得されたものをお決めになってください。

それと断熱サッシや断熱ドアの知識、ガッチリ学んで下さい。設計/鹿島






2015/03/04    
No,2鹿島の建築お役立ちコラム

◆家のヒートロスは、どの部分が大きいか。・・・・・


「家のヒートロスについて」

暖かい住宅を建てたい!・・・・・と思うと、みなさんは、どんなイメージをしますか。

断熱材をたくさん入れる。断熱材を厚くする。外張り断熱にする。家をビニールシートで包む。

いずれにしても暖かい家のイメージは、誰しも、断熱材のことを考えると思います。

断熱材を厚く、たくさん入れるだけで暖かい家になる。

本当に、そうでしょうか?

残念ですが、事実は違います。


下の図は、一般的な建物の各部位からのヒートロスのシュミレーションです


%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BB%E6%96%AD%E7%86%B1%E6%80%A7.JPG


ご覧のように、断熱材を入れる各部位の【屋根、外壁、床下】からのヒートロスは、

全体の 34,7% に過ぎません。この各部位【屋根、外壁、床下】の断熱性能に

コストをかけて、仮に2倍 にしたとしても、全体の省エネ性能は 17% 良くなる

だけに過ぎません。

何処に問題があるのかと言いますと一番の問題は開口部とスキ間なんです。

こんな風に断言してしまうと、みなさんは、本当にそうなの?信用できないよ、

違うんじゃないの、半分疑いの眼差しでご覧になっているかと思います。

もしそう思っているなら、私と一緒に検証しましょう。



下の図は、建物の各部位【屋根、外壁、床下】の熱貫流率〔熱損失係数〕を

表示したものです。


%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BB%E7%86%B1%E6%90%8D%E5%A4%B1.JPG

係数をご覧になってお分かりのように、開口部の熱損失係数は、【5,6】です。

なんと、壁【0,67】の1/8の断熱性能しかありません。


如何に開口部【サッシ】からの熱損失が大きいか、お分かり頂けたと思います。

この開口部【サッシ】の断熱性能を放っておいて、いくら外壁や天井、床下の断熱材を厚く入れてもそれは、「頭かくして、尻かくさず」のたとえで、効果が半減します。

暖かい住宅を造るために、何はさておいても一番に手をつけなければならないのは、開口部【サッシ】の断熱性能を高めて熱損失を出来るだけ少なくすることです。

※理想は、壁の断熱性能値により近づけることです。それと、建物のスキ間を出来るだけ少なくする
【建物の気密を高める】ことも必須条件になります。   設計/鹿島





2015/03/05
No,3鹿島の建築お役立ちコラム

◆ゴアテックス(透湿性)について・・・・

最上級の透湿性を持った素材、「GORE-TEXの特性を家づくりに生かす」

%E3%82%B4%E3%82%A2%E3%83%86%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9.gif

アウターウェアーのショップに行くと、最近この黒いタグの付いた商品が目立ちます。

この黒いタグには、GORE-TEX と書かれています。

またこのタグにはこんな表示もされています。

「GUARANTEED TO KEEP DRY」 これは、「外側からの雨や水滴が内側に

侵入してカラダを濡らすことは決してないことを約束します。」という意味のようです。

このゴアテックスウェアーの快適さの原点はメンブレンという一枚の膜にあります。

メンブレンという膜は極めて薄く、強いフィルム状で、1インチ(2,54cm)四方に

9,000,000,000個もの超微細の穴を含んだ素材で、その最大の特徴は

防水性と透湿性を両立させていることにあります。


この超微細な穴は、雨の大きさより、20,000倍も小さいため水や風などは、

通過することが出来ません。(レインギアには最適なんですね。)

しかし、汗などの湿気、水蒸気などの分子が通り抜けるには充分な大きさの

穴なので自由に逃がす事が出来ます。


つまり、ゴアテックスは雨や風は通さないが水蒸気は透湿するという素材なのです。

従って、雨に降られても水滴はしみこめず、汗をかいた時の水蒸気は外に放湿して

体温が奪われるのを防いでくれます。(汗をかいても蒸れないということです。)


ゴアテックスはあらゆる天候下から体を守るアウターウェアーとしての機能を

備えた高機能な素材なのです。


「家づくりもゴアテックスと同じ性質の素材を
  選択することをお勧めします。」


雨と風の侵入を防ぐために屋根や外部廻りには防水、防風、透湿性を持った

シートが貼られます。

このシートもゴアテックスと同じ特性を持っていて、雨、風は通過することが

出来ませんが、湿気の水蒸気はいとも簡単に透湿が出来ます。


家も人と同じく考えるなら、家の呼吸にあたる透湿(調湿)は絶対に妨げてはなりません。

何故かというと、家の透湿を止めて(塞ぐ)しまうと水蒸気の逃げ場がなくなり結露を

起こす一番の原因になるからです。


「私(水蒸気)は家族といつも一緒に住んでいます。いつもお父さんやお母さんに
お願いしているんですけど聞こえないようです。私(水蒸気)は、目に見えないからね。」



・化学系のビニール素材は透湿できませんから、結露には、充分ご注意ください。
(いわゆるビニールハウスのような家)


・結露は百害あって一利なしで家にとっては一番の害になります。一緒に暮らしている家族にも良い事ないです。


・家の素材はこの透湿(調湿も)が出来るものを選択して下さい。


水蒸気君のお願いです。 

お願いだから私を通せんぼしないで下さい。
私(水蒸気)は止められるのが一番嫌いなんです。
止められてしまうと私(水蒸気)は、行き場がなくなって、結露を起こしてしまうんです。
お願いだから私を通せんぼしないで透湿させて下さい。それと、出来れば私がお休み
する所(調湿とも言います)があるとすごく嬉しいです。無垢の木なんて大好きです。



お住いのご計画をなされるみなさん、気持ちよく健康に暮らすためにも是非、
家の透湿と調湿を心がけてください。 設計/鹿島 









2015/03/12
No,4鹿島の建築お役立ちコラム

◆「夏の冷房負荷を軽くするには、一にも、 二にも開口部の窓【アルミサッシ】にあります。」


夏の暑さ対策は、直射熱と反射熱、輻射熱を可能な限り遮ることが一番です。夏,窓から入ってくる直射熱、反射熱、輻射熱のすべての太陽熱は、冷房運転の大敵になります。(下記の図参照)




%E6%97%A5%E5%B0%84%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%88.JPG

南面からの直射熱を防ぐには、軒先やバルコニーの先を長くしたり、はき出し窓をやめて、なるべく腰窓にして、厚手のカーテンを付け、直射熱を床に落とさないことです。


そして、反射熱を防ぐには、バルコニーの床には、反射熱を吸収する木質の素材を使うと効果があります。(石やタイルは熱を蓄熱します。)


それと、一階の南面には、木のテラス(ウッドデッキ)とか草花を植えることで、反射熱を吸収することができます。


輻射熱は、暖まった空気により伝わるもので、陽の当たらない北面の窓からもしのびよるので北面の窓には、断熱性(K値)の高い窓が必要です。

東面や西面の日除けにすだれやよしずを使うと良い。すだれやよしずは、安価で買いますので、ホームセンターやネットでお調べになり、夏に是非、お試しになってください。

夏は、南面の窓より、東面や西面の窓からの取得日射熱が多いので、落葉樹などを植えると、真横からの日射を遮ることが出来ます。





(冬場の日射図参照)
%E6%97%A5%E5%B0%84%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%88%EF%BC%8D%EF%BC%92.JPG
冬場は、窓から入ってくる太陽の暖かさは、ふかふかの最上級の暖房です。そればかりではなく、明るい照明にもなります。

そして、太陽熱は、最高の殺菌効果があり、カビやダニの発生を防いでくれます。

しかし、窓が本当にエネルギー面でソロバン勘定が合うのは、南面の窓だけで、北面や東西面の窓は、昼間、侵入する熱よりも夜間や早朝、曇日に失われる熱の方が大きく、窓が大きいほどヒートロスも増大しますので、北面の窓は、断熱性(K値)の高い窓が必要です。/鹿島






2015/03/19
No,5鹿島の建築お役立ちコラム

◆目に見えないもので身体に害になる物について。・・・・・


この目に見えないもので、身体に害があるものと言われて、みなさんは、どんなものを想像しますか? 
もし、直ぐピンとこられた方はそうとう知識を学んだ勉強家とお見受けします。


今日、建物が人に危害を与えてしまう、健康被害は大きな社会問題になっています。
特に子ども達が通う学校はコンクリートの建物が多く、建物内はビニールクロスや化学のりの接着剤・化学塗料のペンキが多量に使われています。これらの素材から揮発される目に見えない化学物質を空気と一緒に吸い込んでしまうと抵抗力の弱い子ども達は身体が拒絶反応を誘発し、またその許容量を超えると発作症状が出てきます。

この症状が学校で発生するので、シックスクール[学校で起こる病気]と呼ばれています。
一般的には、シックハウス症候群と呼ばれています。

このシックハウス症候群も化学建材や化学接着剤、化学塗料等などから揮発される有機化学物質が起因で発症されると、広く認知されています。

厄介なのは、この化学物質は揮発性なので、農薬で汚染された野菜と同じように目で見ることが出来ません。しかもこの化学物質は、たちの悪いことに身体に入っても直ぐには気付かないことが多いです。

でも、ある日突然に、こんな症状が表われて来ます。

・目がチカチカする。

・鼻がシクシクする。

・鼻水が出て止まらない。

・しゃみが止まらない。

・頭が痛い。

・身体がだるい。

・吐き気がする。


このような症状が出たら直ぐに病院に行って検査をお受けになって下さい。

症状には、個人差があり、同じ家に住んでいても症状が出る人と出ない人がいます。今はなんともなくても、身体に少しずつ蓄積されて、ある日、突然症状が起ることもあります。




それと化学物質過敏症のこと、ご存知ですか。

シックハウス症候群がかなり進んで症状がひどくなった状態を化学物質過敏症
と言います。その症状は化学物質に対して異常なほど敏感になり、例えば家にある家具類、芳香剤や化粧品、香水、マニキュア、塗料、殺虫剤、ベンジンなどの揮発性物質に反応して体調が悪くなり、場合によっては、普段の生活が出来なくなってしまうほど恐ろしい病気です。しかも完治するには、長い時間がかかるようです。

家を新築してこんな病気にかかったのでは、何のために苦労して家を建てたのか本末転倒です。家族がこんな病気にかかってしまったら大変なことです。家に使われる素材選びは安易に考えないで下さい。選択なされた素材によって良くも、悪くも住んでる人に様々な影響を与えます。万が一も想定してより慎重に検討して下さい。設計/鹿島 一茂